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『育成就労』法案可決について

お久ぶりになってしまいました。事務局です。
最近は9名の技能実習生受け入れのため、バタバタしておりました。
新制度では申請資料の簡素化にも期待したいところです(笑)

さて、育成就労制度が5月21日衆議院賛成多数で可決されました。
働き手が不足している業種において、原則3年で専門の技能が求められる特定技能の水準まで育成し、別の企業などに移る転籍を一定の要件の下で認める」といったものがおおまかな趣旨ですね。
今の技能実習と比べての懸念点と期待する点について私見を述べたいと思います。

懸念点
・転籍可能になることで、給料の高い企業や都市に移ってしまう。
最大の懸念点はここにあると思います。基本的に1年目では転籍できないようですが、2年目からは転籍可能となるようです。受け入れから時間と費用をかけ就労開始して、一年育成し、やっと日本語と仕事を覚え始めた・・・・というころで、辞められてしまう。これは企業様側には大きなデメリットになるでしょう。しかし、外国人労働者からすると、同じ仕事をするなら、より給料の高いところ、待遇が良いところにいきたいのは人間として当たりまえのことです。結果的にとりわけ給料が高い都心に集中するかもしれません。すると、過疎化が進み、本当に人材不足な地方こそが恩恵が受けられないといった状況になってしまう危険性があります。なにか助成金の設定など、地方で働くメリットを外国人労働者に付与しないと、懸念は現実になると思います。

・今まで技能実習は最長5年入れたが、育成就労は3年になる。優良団体であることのメリットはどうなる?
今までは、優良な監理団体、実習実施者のもとであると5年滞在することができました。これは良い取り組みをしている組合、会社様に大きなメリットを付与していたと思います。できれば長く働いてもらいたいですものね。今回原則3年になることで、優良団体であることのメリットはほぼなくなってしまいますよね。例えば申請資料の大幅な簡素化など、優良であることのメリットを明確に設定しないと、企業努力は現状より減り、労働環境はさらに悪くなってしまうかもしれません。なにかしらの助成金を受けられるなども良いかもしれません。

・送り出し機関に払う手数料に関して、実習実施者への一部負担とする。一部とは?
たびたび送り出し機関に技能実習生が支払う額が高すぎることが問題に取り上げられてきました。100万支払って日本に来るなども普通にありました。(しかもほとんど借金)これを是正するために、送り出し国への上限を要請するととともに、この支払の一部を受け入れ会社が担うというルールになるわけです。当然、今の技能実習制度より、経費を使うことになるでしょう。そうなると、そもそも制度利用全体が減ってしまう懸念も生まれてきます。
 でもこれも考え方だと思うのです。技能実習生が本来の目的の国際協力の「人材育成」に寄与できていたとしたら、100万は高いのでしょうか。専門学校、短大出るのと同じと考えれば、100万は決して高くはないと思います。その後の人生に技能実習で学んだ技術が活かせれば、企業側に本当に学ばせる意思があれば、100万だって安いと思えるのではないでしょうか。実態がただの労働や単純作業に帰結してしまったからこその問題なのでしょう。単純労働しかできず、出稼ぎが実態なのに、出国前に100万とるのはそれは高いでしょう。問題をはき違えてはいけませんよね。逆説的ですが。帰国後アンケートで帰国後日本で技能実習が役にたったと思う技能実習生は実は90%いるのです。(もちろんアンケートを受けない人もいると思いますが)一部の粗悪な監理団体や企業の実態を全体的にとらえて、良い面を捨てていくのはおかしいでしょう。
 人材確保を念頭においた「育成就労」はどうなるのでしょうか。「育成」という言葉を残しているだから、きちんと教育できる体制を整えてもらいたいです。外国人労働者が送り出し機関に支払う額に見合った、教育を、付加価値を身に着けてもらって、母国に帰れるようにはしてもらいたいですよね。そこを不透明なまま、なんとなく企業側も一部負担しますっていう体裁だけで終わってほしくありません。
 さらにいえば一部政府が担うということは無理なのでしょうか。日本が人材不足に陥っているのは国民のせいだけでしょうか。そもそもこの点について情報が少ないです。「一部」とはのどの部分なのか?納得できる落としどころはあるのでしょうか。とにもかくにも受け入れ企業だけが負担するのは明らかに違うように思うのですが。

・特定技能の職種に合わせるが、教育面では弱くなるのではないか。
現在技能実習制度はカリキュラム・予定ともに充実しています。(正しく行われていれば、ですが。)その点は特定技能のほうが育成面で劣るのではないかと思います。特定技能はある程度の専門知識がある人が入ってきているので、当然といえば当然ですが。では育成就労はどうなるのでしょうか。早めに固めて公表してほしいです。会社側は教育も強化して、初期用は増大して、といったように負担だけ強いられる格好になる恐れがあります。日本語教育の補助など地域や国が積極的にやるなど指針を打ち出してほしいところです。

期待する点
人材確保を目的にしている点は大きいですよね。技能実習制度で多く行われた本音と建前の是正が図られています。これは携わっているものとして大きな期待感がありますし、全面的に賛成です。技能実習制度は国際協力。しかし実態は人材確保である企業が多い。この大きな矛盾にひずみが生まれ、技能実習生が不当な扱いを受ける現実が生じました。そこにメスを入れていることは日本が国際化するうえでとても重要なターニングポイントであると思います。

特定技能との併用の利便性。特定技能への流れが明確になる点も非常によいと思います。永住権取得への道も明らかにしてほしいところです。原則10年いられれば、可能性が見えてくるはずなのですが、育成就労3年と特定技能5年では満たしません。2号の業種を同じに拡大するのでしょうか。国として外国人との共生を本当の意味でどう考えていくのかが今問われています。私も外国人と接するのかで、家族を呼びたい、永住権を取りたいという人と話します。魅力的で努力かな人たちです。そういった方々と共に生きる未来、可能性をより深めてもらいたいと思います。

さて、もっと細かく考えるとたくさんあるのですが、この辺にしておきます。これから日本はより本当の意味での国際化の道を進むべき段階に来ていると思います。私自身イギリスに住んでいるとき、それこそいろんな国籍の方が同じように仕事をしていました。人種なんて関係ないといったレベルで共に生きている感じがしました。「日本人と同じ待遇であることの証明」をわざわざ申請書類に書く必要なんてないくらいに、仕事と能力に対しての対価を自然に支払う形になってほしいと思います。

以上、事務局でした。




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