こんにちは。事務局です。
もうかなり言葉が浸透している「インボイス制度」ですが、恥ずかしながらなんとなくでしか説明できません。
ほとんどの方がなにを今更と思うかもしれませんが、私は無知なので、改めて調べながら書いてみたいと思っております。
正式名称は「適格請求書等保存方式」。
簡単にいうとしっかり認められた請求書を出して、もらったほうもきちんと保存しなさいよ。ってことですね。
1、適格請求書発行業者としての名称と登録番号
2、取引年月日 3、取引内容 4、税率ごとに合計した対価の額及び適用税率
5、税率ごとに区分した消費税額等 6、書類の交付を受ける業者の名称
これらが適格請求書の要件です。
軽減税率(8%)の商品と10%の商品を区分すること、登録番号を記載することあたりが事務的なハードルですね。
では、適格請求書を出さない、登録しないとどうなるのでしょうか。
一番の問題は「仕入税額控除」に関してです。
まずAという会社が業者Bから1000円の商品を税込み1100円で仕入れたとします。
それをさらにCさん(消費者)が価格2000円、税込み2200円で購入しました。
業者Bは税務署に100円を納税します。問題は会社Aですね。すでに100円の消費税を払っており、さらにCからもらった消費税200円も納税することになります。つまりAは実質300円払うことになりますね。それはちょっと厳しいということで、Bの請求書を持っていればBに払った消費税は控除(マイナス)されることになっています。つまり最終的に300-100円=200円が会社Aの納税する実質消費税額となります。
ここで2023年からはもし業者Bが「適格請求書発行業者」じゃなかった場合が問題になってくるわけです。
適格請求書以外は認められないので、Aはなんと300円まるまる納税しなければいけません。
Aからしてみるとたまったものですよね。金額が大きかったら恐ろしいことです。
そんな状態になったら、Aは業者Bからものを買うでしょうか?
おそらくよっぽど深いつながりがなければ契約を切ることになっていくでしょう。
じゃ登録すれば良いだけでは?となりますが、実は売上高1000万円以下の個人事業主などは「免税事業者」であり、納税の必要がそもそもないんですよね。
それでもインボイスに登録して課税事業者とならないと契約がなくなる可能性が出てきます。
そして、1000万以下の業種でも登録する方法はあるのですが、インボイス制度に登録すると当然納税義務が発生してしまいます。
つまり1000万円以下の個人事業主やフリーランスは取引が減るかもしれない免税か・納税したうえでの取引維持か、といった厳しい選択を迫られることになります。どっちを選んでも経費は現状よりも増えてしまいます。
現在漫画家の問題が前からよくニュースによく出ていますね。
売り上げ1000万円以下のフリーランスの漫画家さんはとても多いそうです。またフリーランスの漫画家さんはさらにフリーランスのアシスタントにもお金を払っていたりするので、複雑な問題になってくるわけですね。アシスタントに対しては買い手であり、もしアシスタントが免税事業主ならば、控除ができません。それでもこれから漫画家になる卵に課税を迫れませんよね。アシスタント側からみても私は免税でお願いします、というのも難しいですよね。
漫画家だけではなく、様々な業種でこれからどんどん問題がでてくるでしょう。
個人事業主は仕入れ、加工、販促、すべて自分でやっているわけですし、そのすべてに消費税がかかるわけです。
さらに税金や保険料、国民年金を払っています。個人事業主だと厚生年金もないですし、保障面でも弱い部分も多いと聞きます。だからこそ免税があったわけですよね。そんな全体の10%もいる自営業者たちに大変な選択を迫る制度こそがインボイス制度といえますね。ただでさえ、ずっと恒常的な不景気なわけなのに、ほんとに大丈夫なのでしょうか。
ちなみにインボイス制度は2016年の税制改正で決定されました。消費税10%や軽減税率などは非常に騒がれていましたが、インボイス制度というワードに関して当時どのような内容なのか全く理解できませんでした。あたかも軽減税率のためのおまけの制度に感じましたが、日本の産業自体に大きく影響する重要な制度だったわけですね。少なくとも私はあっという間に可決されていたように感じております。さらに言えば軽減税率はすでに運用されているのだからその制度自体必要ないのでは?と思ってしまいますけれどね。
一応、インボイス制度の軽減措置もあるようです。2023年10月から3年間は客から受け取った消費税の8割を一律で差し引くなどの措置を調整しているみたいです。軽減、猶予期間、と濁しながら結果的に増税してきた日本の政治の歴史を今回も正しくなぞっておられます。消費税が上がることには国民の反感意識というのはすごいものがありますからね。しかし一時の軽減措置でごまかしたりせず、消費税をあげることでどのようなメリットが国民に還元されるのかをきっちりと議論してほしいです。たとえばイギリスは消費税は20%と日本と比べるとかなり高いですが、医療は基本的に無料で受けられます。プライベート医療の場合でも消費税はかからないように設定されています。税金が国民の生活を守るために使われるのであれば、増税にも理解を持てると思いますが。。。
話が変わってしまいました。申し訳ございません。
とにもかくにも、2023年10月1日から制度は始まります。
今まで以上に請求書のチェックは細かくすべきですし、事務作業を簡素化させるITツールの導入など、準備を進める必要があります。私も個人的にいろいろ調べます。こういった問題は組合員の方々と協力できれば幸いと考えています。
以上事務局でした。